足の裏が語ってくれること

当院では、 どのような症状でも施術にあたって、その方の身体を全体的に見せて頂きます。

その際、足の状態も確認します。

足・足指の変形、足の裏のタコや肥厚、足指の動き、足裏の感覚、またこれらの左右差・・・等々。

足の状態は、その方が無意識にとっている姿勢や歩行パターン、好んで履く靴のタイプ、足への関心の程度・・・など、いろいろなことを語ってくれるように思います。

これは施術をする上でもとても参考になる情報です。

今回はその中でも足の裏の肥厚、タコについて取り上げます。

ヒールの高い靴を長年履き続けていた方は、外反母趾になりやすいことは、よく知られています。

先端が尖った靴をよく履く方は、足先に負担がかかり、足指が変形している場合があります。

足に合わない靴を我慢して履いている方は、足の裏や側面にタコがや肥厚がみられることがあります。

足の裏はわずかな面積で全体重を支えてくれていますが、関心が向けられにくい部位でもあります。

たとえば施術中、「右足の親指の下にタコがありますね」と伝えると、「えっ、そうですか?

気が付きませんでした」のように、おっしゃる患者さんも割といらっしゃるのです。

●足の裏の肥厚、タコから分かること

病院で理学療法士として、リハビリを担当していたときのことです。

大腿骨の骨折のため、その足への荷重が長期間制限され、松葉杖で歩行をしていた患者さんがいらっしゃいました。

その方の健側(骨折していない方)の足の裏は肥厚し、さらにタコがいくつもできていました。

これは、松葉杖に頼ってはいたものの、健側の足に過度に荷重がかかり、負担が大きかったことが原因です。

また、膝の痛みでリハビリに通われていたご高齢の患者さんは、健側の足の小指のつけ根に大きなタコができていました。

荷重による膝の痛みを避けるため、無意識の内に健側の足の外側に荷重をかけて、長年歩行していたからです。

このお二人のように、下肢(大腿部~足部)に外傷や痛みがある場合、健側の足に過度に荷重がかかり、肥厚やタコなどができやすくなります。

ただ、このような場合、外傷や痛みなどが改善され、両方の足に同じように荷重ができるようになれば、肥厚やタコは(その程度にもよりますが)改善されていくはずです。

このようなケースはよく見られ、肥厚やタコができるメカニズムは理解しやすいものです。

 しかし、実際に施術をしていると、手足のしびれ、肩や首のこり、頭痛、腰痛など、下肢の症状の訴えがないにも関わらず、片方の足の裏だけにタコがあったり、ときには両足の外側にタコがあったり・・・という方が少なからずいらっしゃるのです。

●「足の裏の状態」と「身体の歪み」との関係

 これは、下肢に外傷や痛みなどがないにも関わらず、両方の足に均等に体重をかけられないことを意味しています。

なぜそのようなことが起こるのでしょうか?

それは均等に体重をかけられないような、身体の歪みがあるからです。

その結果が、足の裏にタコや肥厚という形で表れているのです。

次の図は、後からみた上半身の図です。

臨床上でよく見られる、典型的な歪みを表しています。

骨盤と背骨は、正常では垂直につながっていますが、図のように骨盤が歪むと、それに伴って背骨も歪んでしまいます。

ここでは、骨盤は右に上がっていますが、多くの場合、それに伴って背骨を左凸に弯曲させて、頭部をまっすぐに保とうします。

これは無意識に行われます。

このような歪みは、背骨上部の頸椎(首を構成する骨)や、その上に続く頭部にも当然影響を及ぼします。

また、背骨が弯曲することで、両肩の高さが異なってきます。

つまり、骨盤が歪むことで、首、頭、肩は本来の形を保つことができず、諸症状を引き起こす可能性がでてくるのです。

このような理由から、これらの部位に出た諸症状を改善するためには、身体の歪みを改善させる必要がある、ということになります。

●当院の施術

身体の歪みは、背骨の左右にある脊柱起立筋をはじめとする筋肉の働きによって起こります。

背骨の右側の筋肉が強く収縮し、左側の筋肉が伸ばされると、上図のように背骨は左凸に弯曲します。

当院では、症状の原因となっている「身体の歪み」を調べ、それを改善するために、筋肉の調整を行います。

その結果、身体が本来の形に戻り、正しく動かすことできるようになれば、症状も改善していくのです。

また、それに伴い、足の裏の状態も良くなっていくはずです。

足の裏はその方の、身体の歪みを語ってくれる部位でもあります。

ぜひ、これを機にご自分の足の裏に関心をもっていただければと思います。

おくむら整体院 奥村多恵子