リウマチからの贈り物(40) 私を救ってくれたメッセージ ~母の死の前に
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このブログは、関節リウマチのような「治らない」とされている病気の方々に参考になることがあればと、書いています。また、ご病気でない方でも、病気のとらえ方、医療との付き合い方、代替療法の取り入れ方……など知っていれば、役に立つ情報もお伝えします
私を救ってくれたメッセージ ~母の死の前に
昨年8月の末、母が89歳で亡くなりました。誤嚥性肺炎であっという間でした。
母は8月に入ってから、目に見えて調子を崩すことが多くなり、心配な日々が続きました。
私の症状も母の悪化とともにとても強くなっていき、リウマチが精神的なことで悪化する、ということを身をもって実感しました。
あちこち痛み体を動かしにくくなったため、母の介護を前のようにしてあげられなくなったことが、辛かったです。
結局、母は熱が下がらず呼吸苦が出てきて、病院に救急搬送することになりました。そしてそのまま入院となりましたが、コロナの影響で身内でさえ、会うことが制限されていました。
母は一人で寂しく、心細かったと思います。少しでもそばにいてあげられたら……と。
でもそのときは、私も痛みが強かったため、コロナでなくても母いついてあげられなかったかもしれません。
入院してほどなく、主治医から連絡があり、病状説明をしたいのですぐに来てくださいとのこと。
先生の様子からも、母が回復して帰宅できるという話ではないことは予想がつきました。数年前に、延命治療を希望するかどうか私は母に聞いて、チェックシート形式で文書に残していました。それを持って急いでタクシーで病院に向かいました。
母は苦しんでいないだろか、眠っているのだろうか…… もうすぐ、逝ってしまうのだろうか…… 私の状態も良くない中、母の最期に私の心と体がついていけるだろうか…… と車の中で心も体も心配と恐怖でカチコチでした。
そんなとき、タクシーが赤信号で止りました。
ふと窓の外を見るとそこは偶然にも、教会の正面玄関の真ん前で、掲示板にかけられた文字が目に飛び込んできました。
あっ、と思わずスマートフォンで写真を撮っていました。

「平和は ほゝえみから 始まりま寸 マザーテレサ」
平和…… ほゝえみ? ああ、そうか…… こんなときこそ心を落ち着けないと。私は、マスクの下で口角をあげて無理にほほえんでみました。
すると、それと同時に、突然お腹の底から熱いかたまりがこみ上げてきて、わあっ、と泣き声をあげそうになりました。
なんとか両手で口を押えましたが、「あ、私大声で泣きたかったんだな」とそのとき気づきました。
ほほえもうとして大泣きしそうになるなんて……
でもこの後、急に肩の力が抜けて、タクシーの中で深呼吸ができるようになったのです。
やれやれ、母が大変な時に、私がこんなに意気地なしじゃ、だめだな、と思いました。今できることに集中しようと。
母は数日の間によりやせてしまい、うつらうつらしていました。薬で痛みを抑えてもらっているとのこと。
主治医からの病状説明は、予想したような内容でした。
その話もどうにか冷静に聞くことができ、その上で母が延命治療を希望していないことも伝えました。長くないなら、いろいろなことはしないで、楽に逝かせて欲しいとお願いしました。そして、主治医は母の希望を尊重する方向で対応します、と言ってくれました。
信号待ちで偶然出会ったマザーテレサの言葉は、心配と恐怖でカチコチだった私へのメッセージだったと思います。
「心配しても、恐れても仕方ないよ、冷静になりなさい」と。
ベストなタイミングでベストなメッセージがやってきました。
目に見えぬものに、深く感謝した出来事でした。有難かったです。
いつも、最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
おくむら整体院 奥村多恵子