便秘をより早く治すために ① ~ 排便姿勢 ~

当院には長年の便秘で悩んで来院される方もいらっしゃいます。
数日~2週間以上も便が出ず気分が悪くなる、強くいきまないと出ない、頑張って出しても少量ですっきりしない・・・・等々。
便秘を改善するには、まず大腸が正しく働けるように、身体を整える必要があります。
このため、他の疾患と同様に本来の正しい姿勢が維持できるように施術します。そして、それに並行して身体に負担をかけない排便姿勢をお伝えしたり、また便の状態を良くするレシピなどについても具体的にアドバイスをし、効果を上げています。今回は、便秘の方への当院の施術方法と、排便姿勢について取り上げます。

●便秘の方への施術

図1は患者さんによくみられる、背中~腰が丸くなった姿勢です。

この姿勢では、骨盤の中にある臓器(大腸、小腸、直腸、子宮、卵巣など)は押さえつけられて本来の正しい位置・形を維持できません。腸や子宮には筋肉(平滑筋)層があり、その収縮によって臓器を働かせています。
大腸の筋肉の収縮(蠕動運動)により一番下部の直腸にまで便が運ばれると、便意を感じ排便となります。
姿勢が悪く、臓器が押さえつけられた状態では、腸や子宮の筋肉層がスムーズに働くことができず、便秘や生理痛などの症状につながります。
施術では筋肉の調整を行い、図2のように背筋が伸びた、本来の正しい姿勢(骨盤前傾、腰椎前弯)に改善していきます。

これにより、骨盤の中にある臓器は本来の正しい位置・形を維持できるようになります。そのため腸や子宮の筋肉層がスムーズに働き、便秘や生理痛などの症状の改善につながります。
しかし便秘の症状が強い場合、施術と並行して、便秘薬を飲まざるを得ない場合もあります。
ただこのような場合でも、食事内容や水分摂取量を改善したり、次に説明するように排便姿勢を整えて、便秘薬をできるだけ減らす意識は必要です。というのも長期間、多量に服薬することで副作用があるからです。便を柔らかくする薬は、腎機能が悪い方では特に、 血液中のマグネシウムを上昇させ、筋力低下、 低血圧、 呼吸障害などを引き起こすリスクがあります。また蠕動運動を促進させる薬は、腸を無理やり動かしているため、 腸が疲れて動きにくくなります。
このような副作用を避けるため、できるだけ早期に自力で排便できるようにしていく必要があります。このため、当院では施術に加えて、排便しやすく身体に負担のない姿勢をお伝えしています。

●「排便しやすく身体に負担のない姿勢」とは?

便秘の方の多くはいきんで排便しています。「いきむ」とは強く腹圧をかけることです。たとえそれで便が出たとしても、身体に悪影響を及ぼします。
いきむことで血圧は上昇するため、心臓や脳に負担をかけ、脳血管障害などを引き起こすリスクがあります。また肛門や骨盤内の臓器、骨盤底筋群に圧力をかけるため、痔核、尿もれ、臓器脱(*)を引き起こす可能性があります。
(*)臓器脱:骨盤内の臓器である子宮、膀胱、直腸などが下がり、膣から体外に出てしまう病気。
詳細は「骨盤臓器脱の方への施術」http://okumura-seitaiin.com/zoukidatu/ 参照
つまり、「排便しやすく身体に負担のない姿勢」とは、いきまずスムーズに排便できる姿勢を意味します。次の写真のように、足底全体を足台の上に乗せ、膝を股関節よりも高くします。足は膝よりも後ろに引きます。これにより骨盤が自然と立ち背筋が伸びます。

この姿勢では、次のイラストのように、直腸を制動している「恥骨直腸筋」が緩み、直腸から肛門のラインが、真っ直ぐになり便は出やすくなるのです。
詳細は「いきまず、するっと排便するための姿勢」http://okumura-seitaiin.com/haiben-sisei/ 参照

排便時、いきみたくなったら次の写真のように、両手を挙げて、「はあ~」と下腹から上方に息をはきます。こうすることで、いきんで腹圧をかけることなく排便できます(便の状態が良ければ、するりと排便できます)。

便秘薬を飲めば取りあえず便が出ているからそれでいい、長年便秘なので諦めている・・・という方、是非ご相談ください。