患者さんのご質問から~「痛くても動かさないと、動かせなくなるのでは?」

外傷などはっきりした原因もなく、膝や肩が痛くなった方から、上記のようなご質問をよく受けます。

それは、思い当たる原因がなく痛みが出て、膝や肩などが動かしにくなるため、「このままにしていると関節が固まって、動かせなくなるのではないか」と不安に思われるからです。

逆に、骨折や捻挫、脱臼など明らかな外傷によって痛みが出ている方の場合、このようなご質問は少ない傾向にあります。

それは外傷によるダメージを、安静にして治さないといけないことが納得しやすいからだと思われます。

痛みを我慢して動かすと・・・

当院には、様々な痛みを訴える方が来られます。

その中には、

「肩が痛くても、我慢してストレッチをしています」

「肩が痛くてあまり上がりません。でも仕事で重い物をもたないといけないので、筋トレで肩を鍛えています」

「膝が痛いのでサポータをして、ジョギングをしています」・・・

などと言われる方がいらっしゃいます。

また、50肩の患者さんの中には、整形外科で肩に麻酔を注射して、痛みを抑制して肩の運動(可動域訓練)をされた経験がある方も、少なからずいらっしゃいます。

麻酔で痛みの原因を治している訳ではないので、麻酔が切れると当然痛みが戻ってきます。

痛みを抑制して、本来なら動かせない範囲まで無理に動かしたため、痛みが増悪して、肩が前より上がらなくなることがよくあります。

痛みは「これ以上動かしたら大変なことになるよ」というメッセージです。

人間の体を守るためのなくてはならない「防御反応」です。

これを無視して動かすと症状が悪化するのは、ある意味当然です。

痛みなどの症状のある方には、初回施術時に「できるだけ安静にしないと改善が遅れます」とお伝えします。

しかし「痛くても動かさないと、固まってしまうのではと不安」、「整形外科で筋肉をつけないと痛みは治らない、頑張りなさいと言われた」・・・などと言われ、「安静にする」ことに納得されない方もいます。

しかし痛みをこらえて無理に動かしていると、人為的に痛みを作り出し、元の痛みに上乗せしてしまい症状はより複雑化します。

それによって、痛みの評価、それに続く施術も難しくなります。

例えば、50肩で痛みが強いにも関わらず、無理な筋トレを継続した方は、施術によって可動域を広げるのにかなりの限界がありました。

動かさないと関節は固まるのか?

例えば、膝蓋骨(膝のお皿)骨折後に膝関節をある一定期間固定すると、筋肉や関節周りの靭帯などが固くなり、膝関節を動かせる範囲(関節可動域)は当然、狭くなります。

リハビリである程度まで関節可動域は回復したものの、痛みやつっぱりがあり前のようには膝を深く曲げられない、という患者さんがいます。

もし受傷前、正座ができていたとすれば、合併症や外傷後の強い変形などがなければ、正座ができるレベルまで回復させることができます。

このことは、外傷などの原因がなく、膝や肩などに痛みが出ている方についても同じことがいえます。

つまり「痛くても動かさないと動かせなくなる」ということはありません。

痛みがなければ、動かせます

当院の施術では、どの動きで、どのように、どの程度痛むのかを細かく評価して、痛みの原因を見つけアプローチします。

それによって、運動時の痛みが改善されてくると、関節は動かしやすくなります。

元々動かせていたのなら、痛みがなくなれば動かせるのです(*合併症や外傷後の強い変形などのトラブルがある場合を除きます)。

痛みをこらえて動かし、人為的に痛みを作り出してしまうと逆効果です。

当院の施術と、ご本人の「安静にしよう」とういう意識とで、症状は改善していきます。

「痛くても動かさないといけない」と思って頑張っている方、是非ご相談ください。