生理痛が改善されにくいのは?~子宮と腸との関係~

生理痛の患者さんの大半は、数回の施術を受けることで、次回の生理痛がかなり軽減されます。これは身体の形が本来の正常な状態に戻ることで、子宮や卵巣などの骨盤内の臓器の位置や形が正しい状態となり、働きやすくなったからです。
しかしこのような状態になっても、生理痛がなかなか改善されない方が、少数ながらいらっしゃいます。これはなぜでしょうか?いくつか原因はありますが、今回は生理痛と「腸」の関係について考えます。

●骨盤内蔵機としての子宮

子宮は図のように、骨盤内の狭い空間に位置しているため、姿勢の影響をより強く受けます。姿勢が悪くなると、骨盤内の子宮は正しい位置・形を保てず、スムーズに働くことができなくなります。その結果として生理痛などの諸症状が表れます。

当院では、施術によって左図から右図のような本来の正しい姿勢へと改善していきます。それによって子宮や卵巣などの臓器も正しい位置・形を保てるようになり、スムーズに働けるようになります。その結果として生理痛が改善されるのです。

●子宮生理痛が改善しにくいのは?

本来の正しい姿勢が維持できるようになっても、生理痛が改善されにくい人がいるのは何故でしょうか。そのような状況の患者さんにお話しを伺っていると、身体を冷やしすぎていたり、きつい下着で身体を圧迫していたり、仕事が忙しく寝不足が続いていたり……など日常の生活パターンが生理痛の改善を阻んでいることもあります。
また、それ以外に「腸」の状態が生理痛と関係していると思われる方もいます。そのような方は、生理時や排卵時に、便秘や下痢を繰り返すなどの症状を訴えます。今回は、生理痛と「腸」との関係についてご説明します。

●生理周囲に分泌されるホルモン

生理周期に合わせて分泌されるホルモンは、腸の働きにも影響を与えます。
生理が始まるとプロスタグランジンというホルモンが分泌されますが、これは腸の収縮を促し、腸の働きを活発にします。これの働きが過剰になると、下痢を引き起こします。逆に排卵の前後にはプロゲステロンというホルモンの分泌量が増え、これにより腸の動きが鈍くなります。このため、排卵の前後は便秘になりやすいと言われています。

●当院の患者さんでみられる症状

上述したホルモンの働きにより、生理中は下痢しやすく、排卵前後は便秘がちなります。
このような方もいらっしゃいますが、必ずしもそうばかりではありません。生理前になると便秘し、それによって生理痛が強くなり、生理が終わる頃に逆に下痢するという方もいます。
いずれにしても、生理前後に腸の働きが悪くなる、ということです。
そういう患者さんに食生活について伺うと、食事が不規則になったり、外食が増えていたり、菓子パンやお菓子をたくさん食べていたり……等々により、腸にいつもより負担がかかったときに、腸の調子が悪くなり生理痛が強くなる傾向があるようでした。
大腸も子宮や卵巣などとともに、狭い骨盤内に収められている臓器です。
生理中、子宮は筋層の収縮で経血を押し出しますので、通常よりも大腸への圧迫も強くなりす。このように子宮の状態の変化により、通常よりも大腸の働きは妨げられやすくなると考えられます。
さらにこのような時期に食生活で腸に負担をかけると、腸はより正常な動きがしにくくなります。そして、これは子宮の働きを妨げることにつながるのです。このような悪循環が起きるため、「腸」の状態が悪くなると、生理痛の改善が遅れると考えられます。

●生理痛を改善するために

生理痛と腸の状態が関係していると思われる方には、食生活に気を付けるようにアドバイスしています。
まずは、間食をやめること、食事は腹八分目にすること、からが始めやすいです。そして、和食(できればお米は玄米)にされたり、肉よりも魚、豆類でたんぱく質をとるなど、食生活全体の見直しをされることをお勧めします。
生理痛がなかなか改善されない、改善していた生理痛がまた悪くなった、便秘や下痢を伴っている、などの症状は「食生活を変えた方がいいですよ」、という身体からのメッセージかもしれません。
その声にどれだけ、耳を傾け自分で変えていけるかが大事だと思います。