良い姿勢で楽に長く座るには?~ガスケアプローチに基づいた姿勢の整え方~

当院の施術では、筋肉の調整などで身体の歪みを整えていきます。
それにより身体が整ってくると、結果として症状が改善してきます。
しかし症状が改善した患者さんの中には、良い姿勢が保ちやすくなったものの、

「ソファーでテレビを見ていると、また腰や肩が痛くなります」
「椅子に長く座って本を読んでいると、首や肩が辛くなります」

などと言われることがよくあります。
症状を再発させたり、症状を悪化させないためには、環境を整えて、良い姿勢を保てるように工夫する必要があります。
そうすれば、良い姿勢で楽に長く座れるのです。

今回の内容は、ガスケアプローチに基づいています。

*ガスケアプローチとは:フランスのド・ガスケ医師が提唱。姿勢、呼吸、ペリネ(≒骨盤底筋群)の間に存在する様々な関係に基づいて構築されたアプローチです。

●負担の大きい座り方

・背もたれ有り + 足を投げ出す

いわゆる「仙骨座り」。ソファーでの座り方。
一見楽なようですが身体に負担が大きい座り方です。

①腰・肩への負担
足の重み、上半身の重みで腰への負担が大きくなります。頭が肩よりも前に出て、それを支えるために肩首回りの筋肉に負担がかかり肩や首コリの原因になります。

②骨盤内臓器への負担
上半身で下腹部を圧迫するため、骨盤内の臓器(膀胱、小腸、大腸、直腸、子宮、卵巣)を押し下げてしまいます。

③骨盤底筋群(*)への負担
骨盤の底には骨盤底筋が付いています。上記の座り方で骨盤底筋は過剰に引き伸ばされ、働きにくい状態になります。

*骨盤底筋群:骨盤内臓器を下から支えるだけではなく、尿道、ちつ、肛門が開口するため、これらの働きに関与します。

・背もたれ有り + 足を引く


背もたれを使った一般的な座り方。
足を引き、おしりを後方に移動した分だけ、図1よりも負担は少なくなります。
しかし、長く座ると前述した①~③の負担は増加します。

●負担の少ない座り方

・背もたれなし + 足台使用

背もたれを使わず、足を台に乗せた座り方です。
足を台に乗せて膝を股関節よりも高くし、足は膝よりも後ろに引きます。

①腰・肩への負担
骨盤を立て、足を引いているため腰への負担が少なくなります。また、頭は肩の上に乗りますので、肩や首の負担も少なくなります。

②骨盤内臓器への負担
下腹部を圧迫しないため、骨盤内の臓器を押し下げません。

③骨盤底筋群への負担
骨盤底筋群を引き伸ばさないため、働きやすい状態に保つことができます。試して頂くと分かりますが、この座り方では自然と背筋が伸びます。
ただ、この姿勢を長く続けると、腕の重みで姿勢を保ちにくくなります。
そのような場合は、次のようにして下さい。

・背もたれなし +足台使用 + 腕の重みをとる


クッションなどで腕の重さをとると、姿勢はより保持しやすくなります。
患者さんにこの座り方を体験してもらいますが「背もたれを使わないと、疲れると思っていましたが、これは楽です!背筋が自然と伸びますね」など驚かれる方もいらっしゃいます。
ご自宅や、職場で足台を置かれるようになった方々の声も聞かれるようになってきました。
私も、自宅や職場で足台を利用して座っています。

●良い姿勢で座るために

良い姿勢で長く座るのは辛い、無理と思っている方が多いと思います。
しかし、ご説明したように、環境を整えて、良い姿勢を保てるように工夫すると、楽に長く座れるのです。
ポイントは次の3つです。

1.背もたれによりかからない
2.台を利用し、膝を股関節よりも高くする
3.足は膝よりも後ろに引く


是非お試しください。

★祝日開院のお知らせ

10月14日(月 体育の日):9時半~17時まで
10月22日(火 即位礼正殿の儀):9時半~17時まで開院します。