尿もれと姿勢の関係

尿もれについてのご相談を受ける機会が増えてきました。

年齢とともに尿もれが気になってきたという方、妊娠中からあるいは出産後から、尿もれに悩んでいる方もいらっしゃいます。

いずれの場合も、わずかな刺激で尿もれが起きます。思わず笑ったとき、くしゃみや咳き込んだとき、信号が変わりそうになり小走りしたとき、お子さんを抱き上げたとき、縄跳びやトランポリンをしたとき・・・等々。

当院の施術で尿もれが改善していくのは、尿もれが姿勢と深い関係にあるからです。

●尿もれと骨盤底筋の関係

妊娠中の尿もれは、胎児の成長によって子宮が大きくなり、すぐ側にある膀胱を圧迫して起きる場合が多いようです。

出産後や中高年の方の尿もれは、骨盤の底を形成している「骨盤底筋」という筋肉が、出産や加齢によって緩むからだと言われています。

この筋肉は、膀胱などの骨盤内の臓器を支えたり、尿道や肛門を締めたりする役割をしています。

このため、この筋肉が緩むと膀胱は下垂傾向になり、わずかな刺激でも圧迫されて尿もれを起こしやすくなります。

また、この筋肉が緩むと尿道の締まりも悪くなり、尿もれにつながるのです。

このように重要な役割をする骨盤底筋ですが、日常的には意識しにくい筋肉です。

肛門や膣を意識的に頭の方に引き上げようとしたり、排尿時に尿を止めてみたりすることで、骨盤底筋を意識しやすくなります。

尿もれを改善するために、この骨盤底筋の様々なトレーニング法が書籍、TVなどでよく紹介されています。

尿もれの改善や予防のために、適切なトレーニングをすることは良いことだと思いますが、この際、どのような姿勢で行っているかが重要です。

●骨盤底筋と姿勢の関係

図1は骨盤後傾(後ろに傾いている)、腰椎後弯(後ろに丸く飛び出している)になった、「悪い姿勢」を示しています。

背中が丸まったこのような姿勢では、骨盤の底を形成する骨盤底筋は引き伸ばされ、本来の伸縮作用が適切に行えません。

そのため、骨盤内の臓器を支えたり、尿道や肛門を締めたりする働きが低下してしまいます。

またこの姿勢では、下腹部は常に圧迫されるため、膀胱や子宮などの臓器が、本来の正しい位置、形で骨盤内におさまることができなくなり、臓器自体も働きにくくなるのです。

図2は骨盤前傾(前に傾いている)、腰椎前弯(前に反っている)になった、「良い姿勢」を示しています。

この姿勢では、骨盤底筋は引き伸ばされることなく、一番働きやすい長さで維持されるため、本来の伸縮作用が適切に行えます。

そのため、骨盤内の臓器を支えたり、尿道や肛門を締めたりする働きが行いやすくなります。

またこの姿勢では、下腹部は圧迫されることはないため、膀胱や子宮などの臓器が、本来の正しい位置、形で骨盤内におさまり、臓器自体も働きやすくなるのです。

骨盤底筋の伸縮作用が適切に行われるには、このように「良い姿勢」が「自然に」保たれている必要があるのです。

「悪い姿勢」のまま、あるいは、「良い姿勢」をしようと無理をしながら、骨盤底筋トレーニングを継続しても、効果は少ないでしょう。

●当院の施術

当院では、尿もれであっても、腰痛や手足のしびれなどと同様、全身の状態を確認します。

その方がなぜその姿勢、動きを取らざるを得ないのかを評価して、その症状を引き起こしている原因を見つけるためです。

それに基づいて、施術を行い、本来の正しい姿勢に戻していきます。

その結果として症状は改善していくのです。

尿もれの方へは、通常の施術と並行して骨盤底筋トレーニングをお伝えしています。

尿もれで悩まれている方、是非ご相談ください。